心の葛藤について~和らぐかもしれない提案も添えて~

 

人間が生きていく上で必ず通る、また死ぬまで多かれ少なかれ経験するであろう心の葛藤について、僭越ながら持論を述べてみようと思いましたのでしばしお付き合い下さい。

 

人は社会性のある生き物です。人と人が協力をして生活を営んでいます。何もかも1人で生活している方が世界中にいるのかもしれませんが、ほとんど全ての方は、誰かしらの助けを得て、また誰かを助けることで持ちつ持たれつ生きている訳です。しかしながら他人との関係を持つが故に心の葛藤が生じることもあります。生じることもあるというよりかはほとんどのケースで生じるでしょう。ところで心の葛藤とは何なんでしょうか。

心の葛藤とは「自身が思っていることと『そうするべき』と忖度して対応してしまった結果生じるズレ」だと考えています。職場などは葛藤が良く生じやすい場だと思います。例えば、同僚に仕事の後飲みに行こうと誘われたとします。本人は疲れており早く帰って休みたい。それでも誘ってくれたから断ると悪いなと忖度し結局行ってしまう。また地域で言えば、地域で地位の高い方が言っていることに従う流れがある所で、それはおかしいと思っても、ここでそのおかしいを言うことで仲間外れにされるのではないか。だったら従った方が良いとなり従う。

この心の葛藤とは、自身が考えている以上に心身にダメージを与えていると言えます。心は意に沿わないことを受け入れている自分を責め、意に沿わないことが進んで行くことによって周りは意に沿わないとは思わずにその方を評価していく。そうじゃないという心の葛藤がさらに深まる。身体で言うと、免疫学的にはストレスは交感神経優位に働き、免疫機能を低下させ病気にかかりやすい身体になっていくことが医学的に明らかになっています(安保-福田理論)。

こうした葛藤がどのように心身に現れていくのかはその方の気質や後天的な個人的経験により変わってくると考えます。そのパターンとして

・内に向かう

・外に向かう

・何かに向かう

といったパターンでしょうか。

内に向かうのは、自分自身の心のうちに留め続けることによって抑うつ的になっていったり、溜め続けたことによりいつか暴発をするリスクがありそうです。外に向かうのはヒステリーと言えば良いのか、身体が金縛りになったり、昏迷になり山に入ったまま彷徨っていた、人への攻撃などがあるかもしれません。何かに向かうというのは、ひたすらギャンブル、買い物に費消したり、性的な方へ走ったりなどが考えられます。

 

さて、この心の葛藤を和らげるにはどうしたら良いのでしょうか。

これはどのケースでも有効か分かりませんが、信頼できる仲間、コミュニティがあるのであれば試してみて下さい。

それは「忖度」することを止めてみるです。忖度とは相手がこう思っているだろうな、とかこう言ったらああ言われるかもなぁと頭の中で相手の対応を予測し、相手が不利益を被らないであろう(自分が不利益を被るかは二の次です)対応をすることです。これを止めてみるのです。ただ言うは易しも行うは難し。上記のケースで言えば、飲みに行こうよと言われ、休みたいから行かない、と言いたいが言えないのが葛藤が溜まっていく方の特徴です。自分で決断を下すことが出来ないのが葛藤を蓄積させやすい方に多く見られます。だからこそ提案したいのは「決断は相手に任せてみる。ただ自分が思っている心の声を出してみる」です。飲みのケースでは「飲みに行こうよ!」と言われた後に「今日は疲れたなぁ」とつぶやいてみる。そこで相手は「じゃあ今度行こうね。また」となるかもしれません。ただし人によっては「何だよ人付き合い悪いな」と直接言ってくれるのであればまだ良くて、陰で「あいつ付き合い悪いな」なんて言われた日には言わなければ良かったのダメージが出来そうです。それでも実は短期的にはマイナスになるような現象も、中長期的にはプラスに転じる可能性を十分秘めています。2度3度飲みに誘われてその度に「今日は疲れたなぁ」と言ってみて下さい。そのコミュニティではもう誘われなくなります。結果としてあなたは十分に休みをとることが出来ます。1度こうした経験をすれば、徐々に思ったことを口に出してもそれほど、自分が思っているほど悪い結果にはならないと理解できるようになります。出来ればこの成功体験は、あなたが信頼している仲間、コミュニティでやってみて下さい。あなたが思っているのが拍子抜けするほど、環境があなたの気持ちを受け止めると思います。取り越し苦労であったことを学習するんです。人は0から0.01進むことは躊躇し、足も重いですが、0.01から0.1まではすんなりいけるようになります。これは経験上だけでなく、少なくない方が体験したことでもあります。

心の葛藤はゼロになることは絶対にありません。これは断言できます。世の中葛藤がゼロな方などいません。人と関わる以上避けては通れません。それでも、それを和らげ、プラスにしていく(成功体験としてドンドン積み重なっていきます)ことは出来ます。

 

このようなことをお話すると、北海道浦河町で行われている「べてるの家」の弱さの情報開示(自分の弱みをさらけ出す)のは心の葛藤を緩和する優秀な方法なのかな、なんて感じたりします。誰にも上記の方法が通用するかは分かりません。が、やってみる価値はありそうです。このプロセスで向精神薬などは必要ありません。かえって思考を捻じ曲げてしまう分障害になりかねません。