森田療法のススメ

今日、ブログを読んで頂いている方より、最近更新していないですよね、と言われてギクリ。そう言えば更新していないなぁと。継続するのはとても大変です。時にこうした外部からの叱咤激励も力になります。第一、ブログを読んでくれている方がいるのは励みになります。

さて、本日はテーマのように森田療法について少しお話をしたいです。森田療法は非常に好きな考え方・実践法であり、ぜひ皆さんにも森田療法について知ってほしいと考えてご紹介します。

 

森田療法とはどのようなものでしょうか。森田療法とは精神療法の1つで、日本人の森田正馬(まさたけ)さんが発明しました。誤解を恐れずにザックリと森田療法を言うのであれば、

「不快な症状があったとしても、出来ることを自分のペースでとにかくやってみよう。身体を動かしていこう」という治療法です。

100年以上前に精神科医である森田さんが提唱した考えですが、今もなお実践されており、色褪せることなく世界各地で行われています。対象になる方としては、森田療法の考えを学習し、しっかり理解して取り組める方になるため、誰にでも当てはまる療法ではないと言えます。森田療法は始まった当初、森田正馬さんの自宅に患者さんを住まわせ、生活していく中で実践をしていました。何だか気持ちがふさぐ日でも、窓を1つ拭いてみよう、外の畑で草取りをしてみよう。今日はあれとこれが出来た。体調が悪いようでも出来るではないか。こうして自信を取り戻し、快復していく方が多く居たそうです。今では病院内で入院治療をする方(全国でも数カ所と限られています)、外来にて森田ダイアリーならぬ交換日記をしながら森田的な考え方を身に付け、快復していく方も少なくありません。過去との比較が私自身生きていなかった頃のことは分からないため出来ませんが、向精神薬に対する考え方は、原則薬は使わないという所から、急性症状や少量は処方する考え方に変わってきているようです。なんせ100年前には向精神薬は存在していませんでしたから、現代の薬物療法を取り入れ実践している場も出てきているということでしょう。向精神薬の使用は個人的意見で言えば、飲まないに越したことはなく、原則森田療法のみで快復を目指すのが望ましいと考えています。一方で、自身で向精神薬のことを学習し、薬があなたに何をしてくれるのか、作用機序、半減期、自身への効き方、感じ方の変化、飲むのを止めた時の離脱症状の存在などをしっかり分かった上で、局所的に使用するのは全て否定しません。

 

私の周囲では森田的な実践が起こってきています。

精神症状に日々悩んでいる方たちですが、自ら人の役に立つために事業を立ち上げています。話を聞けば、不快なことは日々あったり、ふせぐ時間もあると。それでもこうして集まり、誰かのために、何より自分自身のためになっていきたい、動きたい意欲が沸き上がってくるようです。いきなり週5日、8時間の労働をしろと言われても、自身含め「うっ!」っと来ますが、自分たちがこうしてやっていこう、ああいう形で始めようと起業する形であれば、自身で働き方はデザイン出来ます。上手く行くかは二の次というと怒られそうですが、ビジネスはそれほど甘くはありません。それでもこうして実践していくプロセスを最大に評価すべきと考えている立場からすると、この過程が大事なんです。これで上手くいけばなおハッピーになります。

 

市民団体で対話会を毎月開いていますが、そこでも森田的な考え方がちらほら出てきます。症状が消えていくことを日々の目標に置くのか、症状があったとしてもそれをコントロールし、その中でやっていけることをやるか。

 

最後に先日経験したことを話したいと思います。

お手伝いで行っている障害者グループホームでの一幕です。夜間に大きな声を出す方が居て、隣の人が眠れないと。確かに0時過ぎに歌を歌っているのか、ふと何かを思い出したのか大きな声を出していました。ドア越しにもう寝よう、夜間は静かにねと声を掛けると静かになりましたが、それまで眠ろうとしていた自分の身体が緊張しているのに気付きました。その方がまた声を出さないかと神経がそちらに過敏になっているのです。少しの物音にも敏感になります。その後1時間は寝付けませんでした。

このことを森田療法的に考えると、眠れなかったではなく、1時間後に眠りについているのでOKとなります。そうなんです。過敏にはなっていたのですが、何かの拍子で神経を使うことをやめた時点で眠れていた。またどこかで森田療法には触れたいと思います。とっても前向きになれる実践方法です。