メンタルヘルス(精神保健)に関わるようになり、日々痛感することをお話しようと思います。
今日の話の結論はテーマに書かれていることになります。ではなぜテーマに書かれている結論に至ったのか。それを以下述べていきます。
心が病み、メンタルクリニックや病院の精神科、心療内科にかかったことのある方はこの国に極めて多くいらっしゃいます。私も心療内科を受診したことがあります。そこで行われることは、多くは薬物治療です。不安を抱えていたり、眠れないと訴えることにより、それに効くよ、と薬が処方されます。そしてそこではカウンセリングを定期的に受けることも提案されます。ここで良くなったと受診を止め社会復帰される方も少なくありません。
ではそこで良くならない方は?
良くならない方は、なぜ良くならないのかと思いつついつまでもそこに通ったり、良くならないことで別の医療機関に移ったりされます。薬物治療やカウンセリングで良くならないと悟った方のいくらかは、この辺りからインターネットや書籍で代替療法について調べます。そうすると食事療法、運動療法、サプリメント療法、森田療法、内観療法、認知行動療法、精神分析、家族療法、スピリチュアルなどなど無数に方法があることを知ります。
ここで患者は二分されます。代替療法があると知りつつ、ズルズルと医療機関に留まる方(病院をコロコロ替える方もこちらに入ります)。もう一方は新しい方法を手当たり次第に試していく方です。前者は主治医から「クスリは一生飲まなければならない」とか「脳の病気です」とか言われ、思考停止してしまうケースが多いように思います。後者は、何か少しでも良い方向へ向かえば「これこそ自分を良くする方法だ!」と傾倒していく傾向にあります。
実はこの時点で意識・無意識的にあなたはカネで健康が買えると思って行動しているんです。前者は精神通院医療(自立支援医療)、重度心身医療費受給者証などで自己負担が限りなく軽減されていますが、飲む薬の量によっては数万円を月に消費しています。後者は多くが健康保険が利きませんので自己負担です。中には何万と支払うモノも少なくありません。
あなたの生活は経済的に困窮していきます。ただでさえ体調がすぐれないのに支出は増え、悩みが増えることになりかねません。
これだけはハッキリと言います。
「上記の治療を妄信し、それさえ受ければ自分は健康になれるというのは幻想です」
ある治療をきっかけ、手段にし、健康を取り戻していく。それであれば賛成です。多少お金を費消しても、自分の健康とは何か。どのように生活を送っていけば良い方向に向かうのか。ここで何を見直してみるのかヒントになる考えを1つ挙げようと思います。これは免疫学の大家である安保徹先生が言われていたことです。詳しくは安保先生の著書を読んでみて下さい。
①働き過ぎていないか?
②悩み過ぎていないか?
③同じ薬をずっと飲み続けていないか?
④その他、調子が良かった時に比べ、やり過ぎていることや、不足していること(例えばアルコールの摂りすぎや運動のしなさすぎ、寝不足)はないか?
の4点です。
4つに共通していることは、交感神経優位が続くことによって新たな病気を生むということです。人間は年間を通じて、また1日を通じて交感神経・副交感神経をバランスさせている生き物です。
交感神経は緊張をもたらし、古来、獲物を獲る時にこの神経が優位になりました。交感神経優位になると人間は血管が収縮し(血圧上昇)、脈拍が多くなり、各臓器にあった余剰血液が肝臓へと移り、出血しにくくなり、食欲、排泄が抑制されます。
一方、副交感神経はリラックスの神経で、交感神経と逆の働きをします。
1日の動きでは朝、活動する前に交感神経優位になっていき、夕方仕事終わり位に副交感神経優位になっていきます。これが通常の自律神経の働きで、日中、臓器が虚血状態でダメージを受けた、また外傷を負っても、夜寝ている間に副交感神経優位になり、傷の修復をするという形です。
①は働き過ぎにより、交感神経優位がずっと続きます。②も心が常に緊張することは交感神経優位になることが証明されています。③も同じです。湿布薬の連用も交感神経優位になります。④はアルコールは少量であれば副交感神経に傾き、リラックス効果がありますが、過剰摂取はかえって交感神経優位になるそうです。運動のしなさすぎは副交感神経優位になる、寝不足は交感神経優位が続くことで、傷の修復などが出来ずに身体にダメージが蓄積していくと言われています。
交感神経、副交感神経、どちらに行きすぎることなく、バランスすることが大切だと説くのが安保理論です。
僕はこの安保理論を以下のように解釈します。
「①~④は近いうちに、より大きな病気をもたらす。働き過ぎと思えば、働くことを減らし、悩み過ぎていたら、自分で悩みを大きくする前に身近な人に話をしてみる。薬は誰でも不調な時には対症療法で使うので否定しない。でも薬はあなたを治してくれない。その他やり過ぎ、やりなさすぎのことがあれば、ほどよいバランスで見直してみる。食事も目一杯食べずに美味しいと思うモノを8分目で食べ、たまには美味いものをたらふく食うのも良し。仕事は働き過ぎても良いことはないし、それを強要する職場ならサッサと辞める。今はどこでも急募で働こうと思えば働ける。やりたいと思ったことはやり、見たいものがあれば見に行けば良い。誰かから何か言われたとしても、人生はあなたが主役だから適当に聞き流せば良い。誰かが敷いた人生をあるくのでなく、自分が考え、判断し、行動した人生なら、失敗しても、物凄い経験値が入っているはず」
これが安保理論の自己解釈です。
要は無理をせず、自分に正直に生きる。自分の人生だから自分で決めていく。そうすれば人生つまづいても、そのたびに大きな経験値が手に入るし、もっと人生が充実していくはず、ということです。
モノやコトをカネで買うというのは、あなたが思う以上に慎重に考えた方が良いです。ましてやあなたの身体や心を傷つけるようなものであればなおさらです。本当の健康はカネでは買えない理由、ご理解いただけたでしょうか?