昨夜は疲れて泥のように眠ってしまいました。昨日はただただ疲れだけが残った1日でした。
早朝、体調の悪い(先週の土曜夜から良くなかったそうです)統合失調症の方の所へ。同居している方から、僕が来る前にベッドの横に立ち、おもむろにリハパンをおろしベッドに向かって大量放尿。おしっこだらけになった布団を外へ出したとのこと。すえた臭いがする中部屋に入るとベッドの上で顔の上に手を当てて寝ていました。声をかけても目がギラギラしたまま応答なし。仮面のような感じ。向精神薬が先週土曜から飲んでいないためか、離脱症状によるものか、セロトニン異常(セロトニン遮断による受容体感受性の増加→セロトニン症候群?)によるものか、脱抑制のような行動(放尿)。
意識レベルが低下していると判断し救急要請で市内の総合病院へ。
総合病院では内科的に異常はなく、やや脱水のため点滴を1本おこなっただけで、精神科薬の対応が出来ないので精神科病院へあとは行ってほしいと。
救急隊は我々に行き先は任せて下さいと言われていたが、自分が医療ソーシャルワーカーだった時分に精神科患者の精神科がない病院での受け入れの悪さは知っていたのでこうなるとは思っていました。彼と市内の精神科病院へ向かう。声かけにもまったく反応なし、何とか移乗の指示は入り座位は保てたので、自家用車で移動。
精神科病院に着くと、彼の行動に変化が。何かを求めるように急に立ち上がり、ふらついているのに歩いていこうとする。夢の中にいるような表情。相変わらず声を掛けても一切反応はせず。腋窩(脇)を支えて診察へ。
医師の問いかけにも全く反応せず。「これは入院だね」と医師。
医師「Aさん入院した方が良いよ。だいぶ調子が悪いのでこのまま入院しよう」
A「・・・(ボーっと外の景色を眺めている)」
医師「・・・(1分くらい経って)任意(入院)は難しいね。」
ということで医療保護入院へ。僕が隣県に住む姉に連絡。医師に電話を代わり、後日来院することに。
僕としては一番やりたくなかった選択肢でした。この病院に対する診断も理解が出来なかったため、彼とは話し合いをして隣の市の漢方も扱う精神科へかかっていただけに、なおさらです。
医療保護入院の説明を僕も一応聞き、今後支援者として本人が希望すれば退院時の話し合いに加われる旨も確認しました。
その後、必要な荷物をまとめ再度来院。
彼は既に保護室に入れられていると。サラッと言われた看護師さんの表情に違和感を覚えながらも、持ってきた日用品1つ1つにマジックで名前を書く作業。
そこで一緒だった別のベテランの看護師さんから
「あなたが山之口でやってる事業は話を聞きました。今度見学に個人的に行きたい」
と。僕がこの病院で行っている事にはどちらかというと反対の活動をしていることも知っており、
「共感できる部分が多いので見に行ってみたい」
とのこと。僕の解釈ではあるんですが、精神病院の中で働く人たちも疑問を感じつつ、それでも惰性で働いている方も少なくないのでは??と感じる一幕でした。
姉には全部終わった夕方に再度電話で話をし、姉としては
「弟をずっと病院に入れておくつもりはない。せっかく仕事を覚え、自分で出来ることが増えてきた中で振り出しに戻ることは望んでいない。それは月曜日に医師に伝えます」
と。
姉も保護者としては初めてなので分からないことがあれば、その都度聞いてくださいねと一緒にやっていくことを約し電話を切りました。
今回の一件では自分の無力さ、疲れ、空疎感を覚えました。何もできなかった。何をすべきか分かっているのにそれが出来ない。
すべきことは、彼が苦しんでいるのを緩和しつつ、彼が本当に統合失調症の精神症状で苦しんでいるのか、離脱症状に苦しんでいたのかをじっくりと減薬で確かめていく精神科医に繋げなかったことです。
入院した精神科病院の医師に確かめてみました。今回の一連のエピソードを話した上で
「先生の見立てとしてはどうですか?離脱症状のようなものも見られたようですが」
間髪入れず
「統合失調症の悪化ですね」
僕はこの答えは不誠実だと考えます。ほぼ初診の患者で、総合病院の紹介状(内容は内科的症状記載)を見て10分程度話しただけで統合失調症の悪化だと。
「何が根拠なのか?」
それ以上は聞きませんでした。私がこういってくれればまだ良かったと思うのが
「いや、まだはっきりは分からない。けどAさんの症状を見ると〇〇かもしれない」
と。
知ったかぶりをして、それが診療の軸になっていく。仮説が間違っていれば実証しても無意味です。
山之口に精神科医を誘致すると昨年から宣言している理由はここにありました。分かっているのにやれない。これが今回無力さを覚えた最大の理由かもしれません。
彼は今も保護室に閉じ込められたままでしょう。薬漬けになっているかもしれない。それは彼の責任か?いや、社会の問題だと思っています。
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