生活保護について考える

最近、生活保護申請にかかる支援をしたことから考えたことを述べていきたいと思う。結果から言うと今回支援したその方の申請は行政から却下された。理由は納得のできるものだったため、本人も理解し、再度困った場面になった時に申請することになった。

 

今回相談にのって頂いた福祉課の職員は本当に丁寧で、本人に分かるように、分かる言葉で説明している姿勢を感じた。私自身、数多くの福祉課の職員と接してきているが、一番「誠意ある」対応だったと思う。ただ、これも前提があったからこそであることも付け加えておきたい。加えて前提が無かった場合に全国で起こっているであろう困難についても考えさせられてしまった。

 

今回、相談を受けた際に相談者の収入はゼロだった。貯蓄も10万円を切るような額だった。親族からの援助も期待できないとの本人の話だったので、他に資産として活用できるもの(家、車、株券、ほか証券など)がないために生活保護を受けるのは妥当と判断し福祉課に相談をする運びとなった。

 

後日福祉課の職員へ本人から電話をし、生活保護の申請前の面談予約をしたかったのだが、本人がどうしてもその日に行きたいとなり、福祉課へ僕も同行する形で訪問した。対応したのは生活保護担当でなく、障害福祉担当の職員だった。話の概略を説明すると、奥で課長か係長らしき方と相談し、戻ってきた後の説明が良くなかった

 

「生活困窮者支援制度はご存知ですか?〇〇サポートセンターに委託しており、生活保護の前に受けられる支援制度、就労支援制度などを紹介するのでそちらへ行ってください」と。

 

良くなかった点が以下の点

①自分の知識不足で十分な対応を出来ないならば、生活保護担当の職員から後日本人へ連絡するなり、繋がりをきるべきでなかった

②それ以前に本人から話をしっかりと聞くべきである。それが出来ないのであれば、他へ相談するなどたらい回しにするのは不適切。自分が案内した所が妥当かどうかは話を聞かなければ分からない

 

その場は分かったふりをしたが、当然本人は申請をするつもりになっていたので、どうすれば良いのかわかっていない。このままでは〇〇サポートセンターに行くことなく諦めていただろう。

 

僕はすぐに行政に話の通じる方に連絡をし、生活保護課と話をし、申請が出来るように話を通した。後日、保護課の職員から家へ訪問し申請にかかる説明と経緯を聞きたいと連絡があり、却下までの話が続いていった。これが”前提”だ。

 

僕が懸念したことが、生活困窮者支援制度が施行されてから、生活保護の前にワンクッションが出来た。このこと自体にケチをつけないが、それにより、生活保護課の面接員が話を聞くことなく、ベルトコンベヤー方式で委託をしている事業所へふっており、生活保護課自体の相談能力、面接スキルが向上していないどころか、下がっているのではないか、ということだ。

 

勘違いしていけないことは、「生活保護の申請はどんな方でも出来るし、行政はそれを受理し、1か月以内には必ず可否を出さなければならない」

 

その上で、生活保護課は却下するのであれば使える社会資源について本人が動けるように話をし、しかるべき所につなぐ。これでやっと生活困窮者支援制度に該当するか否かが分かるのだ。一体どれだけの保護課の面接相談員がこの面談を受けられる社会保障知識、面談の仕方を心得ているのかはなはだ心許ない。保護課の面談が何にも勝り重要だと思うのは、相談へ来た方が死活問題を抱えてきていることだ。老後の資産運用などというどうでも良いものではない。生きるか死ぬかがかかっているのだ。

 

生活保護に該当するか否かについての判断ツールはぜひ下のツールを参考にしてほしい。また福祉課が申請を受理しないと言われ、かつ適切な相談場所や社会資源を支持しなかった場合には私に相談してほしい。生活保護法には以下の文言がある。

 

(申請保護の原則)

第七条  保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。

 

申請をし、調査をした後に生活保護の可否が決まるが、本当に困っている方、行き倒れるような方には申請はなくとも必要な保護をしなさいと。あなたを助けてくれる専門家は近くに必ずいる。一人で抱え込まずに相談してほしい。

 

生活保護判断支援ツール(あなたの月々の最低生活費が分かる)

http://xn--ruqu92eenf16x.biz/form.html

 

※最低生活費とは生活保護を受けられるか否かの基準になる。1円でも最低生活水準より収入が少なければあなたは保護が受けられる可能性があります。