家族幻想:「ひきこもり」から問う を読んで

久しぶりに良書と思う1冊に出会った。ライターの杉山春さんが書いた著書である。

 

メディアに常日頃接していると、家族は良いものだという社会的共通認識が出来上がっているのが戦後の日本であるが、結局、今引きこもりを経験している人たちは、他人(両親など家族含め)の「規範(こうあるべきというルール)」に従わされることに葛藤を感じ、戸惑い、引きこもるという形になっている。これに対し自らの「規範」を持つことだって全然良いんだよとサポートをしていくことで彼ら引きこもっている方たちがもう一度立ち上がろうとするのだろうというのが結論であると思う。

 

これについては少ない自分の経験であるが自分自身でも思う所があるし、もしかしたら引きこもっている人たちもそのような形が多いのでは?と考えていた。

 

自分について話をすると、実は引きこもってもいい環境に置かれたことが何度もあった。小学校でまさか自分がイジメにあうと思っていなかったが、頭の形が後頭部が膨らんでいることを毎日なじられ、学校へ行きたくなくなった。その時に何が自分を引きこもりから踏みとどまらせたんだろうか。1つには毎日学校が終わったら行っていた魚釣りがあった。ドブ川だったが、毎日鯉や鮒を釣るのが好きで仕方なかった。また釣りで大きな魚を釣ってくると近所の「のれん」を縄で作っていたおじさんに「魚釣り名人だねぇ」とおだてられて嬉しかったのも覚えている。それが学校へ行く動機となりギリギリで踏ん張っていたのかは分からないし、良く覚えていない・・・

でも学校という行きたくない場所以外にも逃避する場があったからこそとどまれたような気はする。

 

小さなころから好き勝手やる子供だった。授業は聞かず、身体が小さかったが生意気なガキだったと思う。いじめられる前にイジメたこともあった。どうしようもないことをしたと中学に入り後悔した。天罰と言えばそうなのかもしれないが、まさか自分が些細なことからイジメられるとは思わなかった。

 

また社会人に入ってもはじめに入った会社で躓いた。働くことが嫌でしかたなかった。仕事は不織布という人工繊維でたわしの原料、エアコンのフィルター材料、自動車のシートの綿として使われていたが全く興味がなかった。営業で色々な所に話に行き、売るのだが、憂鬱だった。働くって何だろう、生きてるって何だろうと思った。毎日7時に会社へ行き、深夜1時半へ飲んだ後に帰る日々で欝々としたものが鬱に変わっていくような感じだった。32年今までで生きているが一番の危機だったとも振り返って思う。

そんな時にふとつけたTVで「医療ソーシャルワーカー」の特集がやっていた。末期がんのおじいちゃんがカネがないから病院へ行けないし、もう良いから放っておいてくれとかたくなに受診を拒否していた。そんな中医療ソーシャルワーカーは治療をして、その後の生活などを描きつつ本人と治療をするかについて話をじっくりし、結局おじいちゃんは治療に同意をした。その後、治療の甲斐なく亡くなったというのが番組構成だったと記憶するが”衝撃”を受けた。こんな仕事をしている人がいて、こんな仕事があるのかと。その次の日に辞職願を出した。

 

こうしたことから自分でも引きこもりとは紙一重だったと考えるのだ。もし小学生の時に魚釣りやゲームセンターに行くことが無く学校と家庭の往復だけだったら、社会人になり、欝々とした中でTVで医療ソーシャルワーカーの特集に出会わなければ・・・不登校やうつ病、引きこもりになっていた気がする。だから他人事と思えない。これが今、自分が行っている活動の源泉にもなっている。弱き人間であるからこそ今、たまたま弱っている人たちに手を差し伸べる義務があるとも考えている。いつ自分が弱き人間であるからこそ弱ることになるか分からないからだ。

こんな時に家族が役に立つか。僕は家族に対し消極的な考えを持っている。家族とはもっとも自分のことを分かっているようで分かっていない。距離が近いからこそ、血縁があるからこそ家族は価値を押し付けようとし、本人は居場所を失う。価値観が違う場に弱った時にいることほどつらいものはない。自分を否定せず、時には静かに見守り、失敗した時にも支える(都合のいい人間、ずるい人間は弱った時に引いていく。本当の友人であり続けるか否かはこういった時に分かる)人間。これが家族であるとは限らない。

世の中では高齢者、障害者、児童、低所得など相談に行く場所が分かれており、横断的にというか、とにかく話を聞いてくれ!という場がない。

役所にたらいまわしにすることも少なくない。期待をするべきでもない。じゃあ現在困っている人はどうすれば良いのか?

 

そんな時には僕に相談してほしい。自分以外の人たちに自信を持って勧めることが出来ないからだ。距離が遠ければしかるべき場所だと思う所に紹介をするし、近ければ話を直接聞かせてほしい。自分以外の人で今、心にゆとりがある人がどこにいるか分からない。自分にまず相談してほしい。

 

1人で悩むことはないというのは良く言われるが、本当にそれを行動で見せられればと思う。ぜひメールを送ってほしい。

こんなことを考えさせられた杉山春さんの著書をあなたも時間があれば読んで見てもらえれば思う。

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コメント: 1
  • #1

    Rolande Croft (金曜日, 03 2月 2017 16:58)


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