あなたも発達障害かもしれない①

昨日、引きこもり、ニートといった就労に至っていない方たちと率直に意見を交わす場に参加させていただいた。

その中で私からは今まで医療・福祉の分野で関わっている身として、どういった制度があり、彼らにメリットがあるのかという話をした。なぜ私が制度の話をしたのか。どういう話をしたのか。それは順を追って話をしていく。

 

まず今回は発達障害と引きこもりの関連性。そもそも発達障害とはどんなものなのかについて。

 

実は引きこもりやNEETの状況にある方たちと発達障害には関連性が低くないと私は見ている。それは実際に統計データでも実証されている。内閣府の子供・若者育成支援での研究論文にて福島学院大学の星野仁彦医師(論文URL:http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/handbook/pdf/1-2.pdf)が以下のように引きこもりと発達障害の関連性を述べている。

 

① ひきこもりの人は社会性(対人スキル)や人との言語コミュニケーション(会 話)が小児期から未熟であり、特に同世代の多人数場面で不安・緊張感が強く自 分をうまく表現できず、不適応に陥りやすい。また、自分の気持ちや考えをうまく言葉で表現すること(言語化)ができない。

 

② 感情や情動のセルフコントロールが未熟であり、些細なことで気分が不安定になって落ち込んだり無気力・不機嫌になりやすい。

 

③ 小児期からある種の学習障害・認知障害を有することが少なからずあり、学校での学業不振や職場での業績不振の一因になる。また、認知(物事の見方、考え方)のゆがみを示すことがある。

 

④ 睡眠、食事、その他の日常の生活習慣などを自己管理できず、ライフスタイル が乱れていることがある。そのため、通常の学校や職場に毎日定期的に通うなど の規則正しい生活を維持できない。また、往々にして成人してからも、金銭・書類・身の周りの私物などを計画的に処理して管理することができない。

 

⑤自己像(セルフイメージ)が思春期以降に低下して、自分に対する見方が否定的になり、周囲の評価に対して非常に過敏であり、劣等感・被害感情を抱きやすい。

 

⑥ 自分の衝動性や欲望のコントロールができず、暴言・暴力を示したり、ゲーム・ パソコン・携帯などにのめりこむ。成人してからはアルコール・薬物・ギャンブル・買い物(ネットショッピングを含めて)・恋愛・セックス(ネットを含めて) にのめりこむことがある。

 

⑦ 青年期の重要な発達課題である長期の人生目標、職業選択などについての自己同一性(セルフアイデンティティー)を持って、それに向けて長期間コツコツと 勤勉に努力することが不得手である(自分の興味・関心のあることにはマニアックになってのめりこむが、興味・関心のないことには無気力で飽きっぽい)。

 

⑧ 自己認知(自分を客観的に認知すること)が未熟であり、そのため将来の自分についての現実検討力が弱く、空想的(ファンタジック)・自己愛的に達成不能の夢を抱く。

 

⑨ 非常に不安が強く心配性であるため、失敗・挫折への恐怖が強い。自分が傷つきやすい場面、失敗しそうな状況には入ろうとしない。又は逃避する。また不得手なことは先延ばししてしまう傾向がある。

とある。

では発達障害とはそもそもどういったものか。こちらも上記の論文で述べているのを引用する。

 

「発達障害とは、注意力に欠け、落ち着きがなく、ときに衝動的な行動をとる ADHD、対人スキルや社会性に問題のある自閉症やアスペルガー症候群(AS)などを 含む自閉症スペクトラム障害(ASD)、読む・書く・計算など特定の能力の習得に難がある学習障害(LD)などの総称である。これらは生まれつき、あるいは周産期の何らかの原因(遺伝、妊娠中・出産時の異常、新生児期の病気など)で脳の発達が損なわれ、本来であれば成長とともに身に付くはずの言葉や社会性、感情のコントロールなどが、未成熟、アンバランスになるために起こると考えられている。ひと言で言 えば脳の発達が凸凹なのである。 発達障害は決してまれなものではない。前述のように小児でも成人でも人口の数% 以上に発達障害が存在するとされている。」

 

つまり発達障害とは生まれる前後で脳が器質的(物理的)に健常者と言われる方と違うのだ。難しいのはこれが産後の1か月半、3歳児健診などで見つからない場合も多々あり(ちょっと変わった子で済まされる)、学級が進むにつれて学校生活(勉強、日常生活など)に不適合が生じてくることだ。

実は私もADHDではなかったかと考えている。今はそうでもないのだが(社会に適合したといえるのだろうか)、幼少期はとにかく活発で落ち着きがなく、授業も後ろを向いて聞いていた。中学校も常にそうだったし、高校もそのような場面があった。そして関心のあることには滅法はまる、例えば天気が好きで一晩中、3歳ごろは天気図を書き、そして漢字にはまっていたので小学校に上がるときには大人でも難しい漢字をほとんど覚えていた。あとはこれは今でも反省するのだが、カッとなることが多かった。スポーツをしていても自分のことを棚に上げて人がミスをするとめちゃくちゃ不機嫌になり怒ったりしていた。小学校の中学年から高学年にかけては学校で私を嫌っていた人は多かったと思う。あとは忘れ物がやたら多かった。

 

私のように一つのことに滅茶苦茶はまる、落ち着きがない。一方、人と会話があまりできない、会話が続かない、ボーっとして空想にふけっていたり、字が全然書けない子、読めない子、突然キレる子、忘れ物ばっかりする子などなど。

 

上記のことに心当たりのある方は今でも一度発達障害を疑い受診することを勧める。どうして勧めるかは次回のブログで述べていこうと思う。