商店閉店に際し考える過疎地域のライフライン

今年の3月31日をもって萩原町山之口地区の唯一の商店だった青木商店さんが閉店に。僕は少し危機感を覚えた。なぜかというと、過疎地域で物理的なものが消滅していくことは一種の諦観を生み、地域が挫けそうになるきっかけになると思ったからだ。

なぜ商店が閉店しなければならなかったか。主に2点あったという。


①冷蔵庫で飲料を冷やす電気代負担

②仕入れても賞味期限が来てしまう


①については確かに消費電力の多いものを常に動かしておく固定費はバカにならない。これは僕も太陽光発電を通して学んだ。ワット数の多いモノはそれだけ電気を食う。今、太陽光発電で50Wのパネルで144Whのバッテリーで発電をしているが、これで使える電気はせいぜい電球や携帯電話の充電くらいで、PCの充電は60Wh使うので40分くらい充電すると、それだけで他の電気が使えなくなる。ドライヤーなど1200W使うモノが主流だ。こんなの1分使うだけで20W使う。凄い。

例でいくと、ある業務用の飲料クーラーは50Wだ。1日に1200W使う。常に冷やす必要があるからだ。するとそれだけで月額約2000円になる。

たったそれだけ?と思うかもしれないが、電気は別の所でも使っており電気代はそれで絶対収まらない。個人商店にとってこの支出は大きいと思う。

②に関して、どの店でも頭を悩ましている問題だ。売れないため在庫になり、賞味期限が来たら処分する。


この2点だけではないが、これに対し改善策としては、①なら山之口で潤沢に流れている水を使って冷やすのだ。都市にいるとピンとこないが、山之口では多くの家庭が山や沢から水を引いており、常時出しっぱなしだ。勿論タダ。②については売れるモノをマーケティングして売る、賞味期限の長いモノ、または無い日用品をメインで置く、賞味期限が迫ったのは安く売り在庫処分、そのために仕入れ値を十分安くする。

それを考えていると自分で商店を始めてみようという気持ちになってきた。都市と農村を行ったり来たりするメリットは裁定取引が出来ることだ。裁定取引とは何か?一口で言ってしまえば、安く売っている地域から仕入れて高く売っている地域でより高く売ることだ。この利鞘がゼロになるまで市場の参入が進むというのが経済学の教科書だが、経済学の教科書通りには物事は絶対進まない。どこかに歪みがあるもので、その歪みで利益を出す。

裁定取引が可能な商品群は農村→都市だと野菜が代表例だろう。ただ野菜を売るとなるとスーパーとの競争になり分が悪い。消費者の目は節穴なので、違いが分からない。一度食べてみればそれも多少変わるが、味をしらない都会の住民に味を訴えてもしょうがない。田舎から無農薬・有機で野菜を売りに来ている人たちはそこがズレており、思ったほど利益が上がっていない例が多い。そうではなく、スーパーの野菜は価格変動が多く、変動要因は天候が主だ。それもこれは国内だけではない。海外で天候不順で、生産量が減れば輸入物価は上がる。国内生産量が十分であれば国内産に代替需要が発生するが、いまや日本は輸入大国だ。こんな脆弱な上に都市住民の食が成り立っていることをまず知っておく必要がある。

ここに農村から野菜を持ってくる必要性が出てくる。日本人は保険が好きだが、食べ物に関しても保険をかけておきたいと思う住民は一定数必ずいる。週に1度野菜を宅配する事業であれば、価格と量次第では都市で買う必要が無くなる。

都市→農村なら日用品を売る商店形式だろう。都市部では需要も多い代わりに生産も多いためスーパーは激戦だ。どうやったらそんな値段で入るのか?という値段で店頭に並んでいる場合が多い。ただし、野菜を農村に持っていく必要はなく、主に飲料水や醤油・塩といった必需品、日用雑貨を並べるべきだろう。勿論、住民のニーズは他にあるのかもしれない。それはアンケートを取って確認するつもりだ。

こうして考えると二拠点居住は様々なチャンスが転がっていると感じる。あとは、二拠点居住を始めたときのように、まずは隗より始めよで自分が動くしかない。

仕事がないない言っているが、小商いであれば田舎にも一定需要はあると強く思う。そして仕事の創出が青木商店さんの後釜ではないが、物理的に何かを生み出す→地域住民にやれるんだ・いけるんだという自身・誇りを取り戻させるのに寄与できるとふんでいる。

あとは実践で証明するだけだ。


コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    丸大 (日曜日, 04 10月 2015 21:07)

    私も少し考えてみました。
    田舎に商店は要らないな、と。

    近くの少し大きめの町にあるだろうショッピングセンターへの買い物代行でいいんじゃないかな。
    冷凍冷蔵の電気代は必要ないし、売れ残りの賞味期限問題もなし。

    基本的に長く生活していて生活スタイルが決まってきてる人は、日常の食品や消耗品なども買うものが決まってきてると思います。
    自分がそうで、日々の生活はパターン化したほうが楽なものですから。

    そういった定期的に購入が決まっているようなものをコープのように宅配して回るのが便利なんじゃないかなという気がします。

    たまには新しいものを買ってみたいとか、自分で見て買いたいという人には同行という形での送迎もありかな。

    当然「より便利に」となると毎日とか負担が大きくなるので、「楽だけど不便」と「大変だけど便利」の境目を計算してバランスをとる必要はあるとおもいます。

    商店という形にこだわらず、ニーズの本質をつかんで対応する必要があるように思います。

  • #2

    Takashi Yamauchi (月曜日, 05 10月 2015 17:58)

    結局、商店の提案は区長へしてみました。私としては沖縄の共同売店モデルが優れていると沖縄へ行き思い、山之口へも応用できないかと話はしました。ただ返事はつれないもので、青木商店の二の舞になるということでした。
    共同売店は共同出資の共同経営かつ共同消費(こんな言葉は無いですが)を叶える店です。本当に欲しいものを多品種でなく、そこそこの品種とそこそこの量、そこそこの値段で売ることで、持ち回りの店主の利益にもなるというわけです。
    お店へのアテンド、または代行購入も今後、一考の余地はあります。特に山之口の冬は厳しく、50センチほどの雪はザラに降ります。
    厳冬期の買い物は生活必需であり、ニーズはあります。試験的に始めていきます。
    それでも地域としては加工食材など保存食で生活を成り立たせる習慣があるため、どこまで買い物を当てにしているか・・・難しい所ではありますね。