遅くなったが、年明け最初のブログとなる。
1月9日には1月20日入居開始となるシェアハウスの入居予定者3名と事前のルール決めをするためにシェアハウスへ集まって頂いた。
事業構想段階で老若男女の入居を考えていたが、ニーズとしては高齢単身者がほぼすべてを占めるのではと考えていた。
ところが蓋を開けてみると、チラシで募集したよりもSNSやシェアハウス募集サイトの告知を見て応募したという若者が多く意外だった。
さて、今回はタイトルの通り、シェアハウス事業を行っている中、地域の問題が人と会うことによって少しずつ分かってきたのだが、今後、シェアハウスを本当に必要とする方がどのような方なのか、それを現段階で考えていきたいと思う。
現在、シェアハウスがある愛知県弥富市は人口4万4000人ほどが住む金魚で有名な町である。ここ3年は4万4500人を行ったり来たりしており、過疎化が急激に進行している訳でもない。中心街にある弥富駅から名古屋駅へは20分で行けるため、名古屋へ通勤する方のベッドタウンにもなっている。また特徴的な点が、海抜0m地帯といって、海の高さよりも平地の高さが低いため、水害に弱いことである。
このような地域で事業を行うのであるが、私がこのシェアハウスの理念として置いていることは
①日本の家賃は高すぎる。そのために労働することは悪である
②交流の楽しさ
③社会保障制度の持続不可能性から来る生活防衛として
④支出を減らすということ(家庭菜園での野菜等収穫)
の3点だ。
①は特に所得がそれほど高くない方に大きな問題である。なぜならば、年収100~200万の方は年収1000~1200万の方の9倍、家賃の負担が大きいと言われている。また年収の3割を家賃・共益費に当てていれば、1年の4か月間は家賃を払うためにだけ働いていることになる。何かおかしくないか?住宅ローンも仕組みは同じだ。住宅ローンの場合、強制的に死ぬまでローン地獄から抜け出せない分、より性質が悪い。せいぜい3万から4万で住が賄うことが出来れば暮らしは楽になる。
②はそのままであるが、日本社会が2~3世帯住宅から核家族、そして単身世帯へと世帯人数をどんどん減らしており、誰かとささやかながらも交流することが減っている。シェアハウスであれば、交わりたくない日は個室にこもり、交わりたい日にはリビングに出れば誰かしらはいる。その弱い連帯が今後は必要になってくると考える。
③は医療・介護・年金と国家の財政は火の車である。高度経済成長期に医療は老人中心に大盤振る舞い、介護も介護保険を始めた2000年からしばらくは非常に手厚い介護を老人は享受出来た。年金も高度経済成長期に政府は、人口が減っていくことを想定せずに、賦課方式を継続させ、受給金額も厚生・共済には手厚くもてなした。いづれも今、縮小をせざるを得ない段階に来ており、今後さらなるサービスの低下は必至だ。ただでさえ返す当てのない国債債務を刷り続け、生まれてきてもない将来の日本人へ負担を転嫁している。
④これは今後重要な概念である。収入を増やすのは並大抵ではないが、支出を減らすことは、何かを我慢すれば可能である。経済が縮小すると言われるが、無駄なモノをじゃんじゃん使うことがどれだけ生態系に負荷をかけているか皆分かっているのだろうか。分かっていれば今のように物欲にまみれた状況になっていないだろう。
以上の①~④の理念に当てはまる方が将来のシェアハウスの入居者であるのだが、どういった方が想定できるのであろうか。
まずは、高齢単身の女性であろう。男性は女性よりも寿命が短く、どうしても伴侶を失った女性が地域で1人暮らしを続けているケースが目立つ。先日話した方も、夫を数年前にがんで亡くしており、1人暮らしの70代の方だった。このような方が、家庭菜園をのんびりしつつ、慎ましい生活を色々な世代で送ることが出来れば素敵でないだろうか。人は選択できなくなった時、死が近づくと私は思っている。シェアハウスであれば選択していくことも出来るし、異世代で交流することによって選択肢も広がるかもしれない。
また、高齢単身の男性も考えられる。妻と死別・離別している方は少なくない。別れた当初は何でもやらなければいけないという緊張も下、生活を何とかしていくが、家事をしてきた方が少ないため、一定の時間が過ぎると加齢に伴って意欲も低下してくる。地域と積極的に交流する方も少ないため、孤立する可能性も否定できないだろう。共同生活をしていくには自分を抑える場面もあるとは思うが、異世代の価値観を理解できるいい機会だとも思う。
あとは、精神疾患を持った方だろう。これは弥富市役所の方と話している中で出た話だが、精神疾患を持っていると、アパートの入居も困難であり、家族関係も破綻していることも少なくない。ただ一方、彼らはどこかで繋がりを潜在的に求めているとも思われ(私がソーシャルワーカーとして働いてきた中で)、薬による精神のコントロール(実はこの点は引っかかっている点で、精神薬が自立を妨げている面があると確信している。副作用など)をし、少しずつ、自信を持つことが出来れば、人は自立に向けて動くことが出来ると強く考える。若年層でも精神病と診断され、自分が孤独であると断定し、家に閉じこもっている方もいる。そんな人たちと、畑いじりをしながら、人と交わり、自己肯定感を持ち、シェアハウスを拠点に自立を少しずつしていける、そんなニーズもあるだろう。
地域とのかかわりは緒に着いたばかりだ。今後もこうして発信をし、私自身も色々な方と弱い連帯を作ることが出来ればと思う。
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